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放射線治療

Q:がんの治療に放射線を使うそうですが、放射線治療だけで治るのでしようか。どんなふうに治療するのですか?
A:少しむずかしくなりますが、大事なことなので以下の説明をよく読んで下さい。

lin がん細胞・正常細胞と放射線
放射線はがん細胞であれ、正常細胞であれ殺す力を持っています。
ただ、がん細胞のような細胞分裂のさかんな細胞では放射線の効果が大きいのです。
さらに、正常細胞は放射線の障害から回復する力がありますが、
がん細胞はこの回復力がないのです。
ですから、放射線治療は一般的には20回とか30回とかに分けて、
正常細胞の回復を図りつつ、がん細胞を徐々に殺してゆきます。
このようにして、余程大きながんでなければ放射線冶療だけでなおすことが可能です。
もちろん、非常に大きながんでは放射線冶療だけでは不十分なことがありますが、
このような場合は手術だけでも、あるいは抗がん剤を点滴などで体内に入れて
がんの治療を行う化学療法だけでも不十分です。
このときは手術と放射線冶療を組み合わせたり、
放射線治療と温熱療法といってがんを温めて殺す冶療法を組み合わせたりして、
がんをコントロールするようにしています。

放射線科医と放射線治療の実際

放射線冶療では大量の放射線をがん細胞にあてますので、まわりの正常細胞にも多少の影響がでてくる可能性があります。例えば、頭に放射線をあてれば脱毛、口腔内であれば口内炎、
お腹であれば吐き気や下痢などです。
そこで、放射線冶療の専門医はどのようにしたら、がん細胞には最大の効果を与えて、正常細胞には最小の影響ですませられる放射線治療ができるか、いろいろの方面から取り組んでいます。

放射線治劇こは写真のようなリニアック装置やコバルト遠隔照射装置のように少し離れた場所から治療する方法と226Ra(ラジウム)や192Ir(イリジウム)などの放射性同位元素を使ってがんにできるだけ近づけて治療する方法があります。
放射線治療は目に見えませんし、通常4週間から6週間と時間もかかりますので、なんとなく頼りない感じがあるかもしれません。もちろんすべてのがん(腫瘍)を放射線で治せるわけではなく、放射線の効きにくいものもありますし、手術がどうしても必要な場合はあります。
そこでがんの種類や進行状況により治療法を選択します。しかし、腫瘍の種類によっては、手術よりもはるかに確実な場合が少なくありません。

例えば外科や耳鼻科の先生でも悪性リンパ腫という病気では手術はしません。手術するより、放射線治療の方がはるかに確実だということがよくわかっているからです。
また、声がかすれるということでみつかる喉頭がん(声帯があるところにできるがん)は放射線治療でも手術でも同じ位よくなおる病気ですが、初期には手術をせずに、放射線冶療が選ばれます。それは、喉頭がんの手術を行いますと、声が出せなくなりますが、放射線治療では声を残すことができるからです。
このように、放射線治療は特徴を生かして上手に使いさえすれば、がんの治療ではたいへん力強い武器なのです

 

Q:放射線治療でどんな副作用があるのでしょうか?危険がないか心配です。
A:放射線の副作用には、放射線冶療している期間における副作用(急性放射線障害)と放射線治療終了後しばらくしてから生じる副作用(晩発性放射線障害)があります。

 
急性の副作用は一時的なもので、大半の症状は強くはありません。症状が強い時には、薬を飲んだりあるいは吸入することにより改善します。

大事なことは、放射線治療がなされている部位のみに副作用が生じ、照射されていない部位の症状は出現しないことです。
従って、例えば口腔内に放射線治療をされても下痢は発生しません。晩発性の副作用が生じる可能性は非常に低いです。

放射線治療後も定期的に放射線科での診察を受けて下さい。例えば、子宮頸がん治療後に肛門から出血を生じることが稀にあります。
検査をすると直腸が紬く、潰瘍を認めることもあります。これらは大腸がんとまちがわれ、放射線治療に余り知識のない外科の先生は大事をとり、大腸がんの手術を考えてしまうこともあるくらいです、ほとんどの患者さんは、薬を飲んだり、坐薬で、場合によっては輸血で治療をうけると1年以内に改善し、肛門出血を生じなくなります。

気長な冶療が必要となりますが頑張って下さい。子供の場合には晩発性障害として成長障害があり得ます。
例えば、放射線治療を受けた骨は、治療を受けていない骨と比べ成長が悪くなりますので放射線専門医から説明を良く聞いてから治療を受けて下さい。

hukusayo

表の補足
◎急性障害は放射線冶療が終了すればほとんどの症状がなくなります。治療中は疲労を避けて栄養のあるものを食べて下さい。
できるだけ冶療を休まないで治療を続けた方が病気が治る確率も高まります。晩発性障害は稀ですが、治療後も定期的に放射線専門医のところを受診し、病気の状態や副作用があるか否かをもチェックしてもらいましょう。

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