質問
一般社団法人 北海道放射線技師会
原因 | 寿命の短縮 |
0.001ミリシーベルトの被曝 | 1.2分 |
喫煙(紙巻1本) | 10分 |
肥満+高カロリーデザート | 50分 |
ジェット機による北米大陸横断 | 100分 |
小型車 | 5日 |
肥満度10%の人が0.5kg肥満すると | 30日 |
B.L.Cohen氏の論文より抜粋 |
妊娠中のエックス線検査
妊娠中の女性が腹部に100ミリシーベルトをこえる放射線を一度に受けると、胎児に影響が現れることがあります。
しかし腹部のエックス線撮影では胎児の受ける放射線量は1ミリシーベルト以下なので問題ないと考えていいでしょう。
胸部撮影では、腹部にエックス線が当たらないように防護していますので心配いりません。
しかし緊急時以外は避けたほうが良いので、妊娠の可能性のある場合は検査の前に医師とよく相談してください。
小児のエックス線検査
遺伝的影響や不妊などの心配はほとんどありありません。小児のエックス線撮影の場合は、必要部位だけを、できるだけ少ない放射線量(男児で0.002、女児で0.001ミリシーベルト)で撮影するように努力しています。
たとえば、股関節撮影では生殖腺にエックス線が当たらないように、鉛で防護していますので、がんになったり、将来不妊になる心配は、ほとんどありません。
リスクと利益
放射線を受けたことによって発生するかもしれない障害の可能性・危険度のことをリスクといいます。
医療の場では患者さんの利益(病気の早期発見など)がリスクよりも十分に大きいと考えられる場合にのみ放射線を使用しています。
現在ではエックス線検査は、病院や医院などを訪れる人の50%に利用されるほど高い価値のある検査です。
身体的影響(放射線を受けた本人に対する影響)
たとえば1ミリシーベルト(胸部撮影10回分)の放射線を受けたときの、肺がんで死亡するリスクは100万人当たり1~2人です。
しかし、自動車で死亡するリスクは100万人あたりおよそ110人、たばこ喫煙習慣により死亡するリスクは100万人あたりおよそ930人です。
つまり医療で使われる放射線の身体への影響は、日常生活でのさまざまな危険・害にくらべても極めて少ないといえます。
遺伝的影響(放射線を受けた本人の子孫に対する影響)
放射線を生殖腺に受けると、その量が多くなるにつれて遺伝的影響(突然変異や染色体異常・奇形を起こす可能性)も高くなることが知られています。
しかし、放射線による遺伝的障害のリスクは、胸部撮影100回分以上に相当する10ミリシーベルトであっても、100万人あたり40人と極めて小さいことがわかります。
エックス線検査と脱衣
エックス線検査では、衣類・ボタン・ネックレス・湿布・磁石(エレキバン)などは、写真に写ってしまいます。Tシャツのプリントも同様です。
これらが診断の邪魔になったり、診断を誤らせる可能性があります。また姿勢を正しく、より確実にまちがいのない検査をするために脱衣してもらったり、検査衣に着替えてもらったりすることもあります。
(公社)日本放射線技師会では患者さんへの思いやりを大切にしようと、「ペイシェント・ケア」を呼びかけ、最小限の脱衣と検査衣の着用を心がけています。
まとめ
1、わたしたちは自然放射線をつねに受けていますが、ごく少ない量です。
2、放射線の生物に与える影響はは世界的に調査研究が進んでおり知られております。
3、エックス線検査で受ける放射線量は、日常生活の危険度よりはるかに少ないと評価されています。
4、エックス線検査は、病気の存在を知るために医師が必要だと認めたときに行います。放射線はリスクより検査で得られる利益のほうが十分大きいのです。