2022年度 フレッシャーズセミナー〜その後〜 ご質問に対する回答
フレッシャーズセミナー〜その後〜にご参加いたいた皆様ありがとうございました。
当日回答できなかった質問に対する回答を講師の方にお答えいただきましたので以下に掲載いたします。ぜひご参照ください。
講義2 「検査説明について」函館五稜郭病院 小林聖子
質問:
「マンモグラフィ検査において、患者さんの痛み軽減に対して最も効果のある声かけは
どのようなものでしょうか。」
回答:
ご質問有難うございます。状況によって異なり、正解はないかもしれませんが私見を述べさせていただきます。
最も痛みを軽減できる方法の一つは力を抜いてもらうことだと考えますが、不安や緊張が強く体がガチガチに強張っている方に対して、そこへのアプローチ無しにただ「体の力を抜いてください」とお伝えするだけでは、うまくいかないケースがあるかと思います。
個人的には緊張を和らげ、痛みの閾値を上げる声掛け(特に共感と安心感)を大切にしています。具体的には「緊張されていますね、大丈夫ですか」「もし無理であれば遠慮なく仰ってください」などです。また受診歴がある方には「前回の検査の痛みは大丈夫でしたか?」とお聞きするようにもしています。
以前当院で実際にあった例をご紹介させて頂きます。とても緊張された面持ちの方にこちらの質問をしたところ、毎回ひどい痛みで受診される前にお薬(鎮痛薬)まで飲まれてから検査に臨まれているということがわかりました(医療職の方で乳がん検診の必要性を理解され、無理して受けられていました)。辛い検査だとはわかっているつもりでしたが、そんな状況で受けに来られている方がいるということに強い衝撃を受けました。傾聴しながら「それは大変お辛かったですね」と共感を示し、無理なことがあれば遠慮なく教えていただくように真摯に声掛けしました。そして緊張がほどけた後に、実は力が入っていると痛みが強くなる旨、薄く伸ばした方が画質や被ばくの面でメリットがある旨丁寧にお伝えしたところ納得された様子でした。そして「今回はとても楽でした。有難うございました。」と最後は笑顔で検査室を後にされました。個人的にとても教育的な経験でした。
痛みは個人差があり、痛い方には本当に辛いです。受診者ごとに異なる感じ方に寄り添いながら、それに合わせた対応を皆さまと一緒に模索していけたらと思います。長くなってしまい申し訳ありませんでした。今後とも何卒宜しくお願い申し上げます。
講義3 一般撮影のポイント「腹部領域」
北海道社会事業協会小樽病院 齋藤良憲
質問:
「腹部座位撮影をポータブルや救急でオーダーされます。しかし、上前腸骨棘あたりまでが限界で、
撮影が難しいです。腹部座位撮影はどのような意図でオーダーされるのでしょうか。
また、どこまでがんばったら良いか教えていただけますでしょうか。」
回答:
腹部座位で得られる情報は、横隔膜下のフリーエアと腸管内の二ボーの有無です。腹部を座位で撮ると骨盤の下側半分は撮影範囲外になりますが、ほとんどの場合そこに座位でなければならない情報はありません。座位でオーダーする目的は医師によって違うと思いますが、腹痛のスクリーニング目的が多いのではないかと思います。その場合は骨盤の下まで含まれている必要があります。患者さんが元気であればお尻の下にタオルなどを入れて高さを稼いで、1枚で恥骨まで入るようにしたりしますが、難しい場合は、腹部の臥位を追加して骨盤の下までカバーします。私はあまりがんばらないで後者での対応が多いです。もし、胸部座位を同時に撮っている場合は横隔膜は必要無いので、腹部は臥位のみか、二ボーを見るための側臥位も追加、で対応しますが、医師への確認は必要です。